ザンギの鉄道旅行

復刻版時刻表を使って色々遊んだり、たまにリアル旅行記も書いたりしています

九州新幹線さくら&白いかもめ乗車記

 

こちらの記事の続きです。↓

www.zanghi-tetsudo.com

前日に日本最南端の鉄道駅、鹿児島県の西大山を訪れた私はこの日、日本最西端の鉄道駅、たびら平戸口がある長崎県に向けて移動しました。この旅行では青春18切符を使っており、この日も青春18切符と、肥薩おれんじ鉄道の1日乗車券(1500円)を利用して、鹿児島中央→川内→八代→鳥栖→長崎と向かう予定でした。

しかし、この日の朝、起床後すぐに猛烈に「特急かもめに乗りたい!」という欲望が湧いて、抑えきれなくなりました。抑えきれない欲望は、他人に迷惑をかけるなら抑える必要があると思いますが、私が鹿児島中央から長崎への移動方法を18切符と1日乗車券から新幹線と特急に代えたところで誰かに迷惑をかけるわけではないでしょう。肥薩おれんじ鉄道の収入が1500円減るだけ。バタフライエフェクトとか知らん)

つまり、私のかもめに乗りたいという欲望を抑えつける必要性はないというわけです。あとは簡単です。欲望のままみどりの窓口に向かい、「長崎まで」といい切符を購入するだけです。こういう素直な欲望はできる限り大切にしたいものです。

 

と、いうことで急遽予定を変更し、新鳥栖まで九州新幹線さくらに乗り、そこで特急かもめに乗り換え長崎に向かうことにしました。一人旅なのでこういう融通はいくらでも利きます。そこが一人旅の利点と言えるでしょう。

 

まず乗ったのは鹿児島中央9:02発のさくら546号新大阪行です。

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新鳥栖駅にて

乗換案内によると1本後のさくらでも長崎着は同じ時刻になるとのことでしたが、新鳥栖駅周辺を散策したかったためホームに停まっていたこちらのさくら546号に乗ることにしました。私は九州新幹線に乗るのが初めてで、どのような車窓が広がるかとても楽しみにしていました。が、トンネルだらけで残念でした。晴れの日の朝なのに黒が多めの車窓を楽しみつつ(もちろん皮肉)鹿児島中央から1時間半ほど、10:28に乗換地、新鳥栖に到着です。さくら東海道新幹線で言うとひかりの位置付けの準速達列車ですが、さくら546号は九州新幹線内では新大牟田筑後船小屋を除く全ての駅に停まるため、ほぼつばめでした。(このさくらですら停まらない新大牟田筑後船小屋って一体…)そして、新鳥栖駅到着後、向かいのホームに回送の800系↓が停まっていたので撮っておきました。

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私の初めての九州新幹線博多〜新鳥栖の1駅を除く全線乗車、というなんともビミョーな結果となりました。

 

かもめの発車は11:20とそれまで時間があるため新鳥栖駅周辺を散策します。まずは西口から出てみます。パッと見、バス乗り場と駐車場、そしてその先に住宅、と特に何かあるようではありませんでしたので、駅の反対側、もう1つの出口である東口に向かいます。こちらは住宅があっただけで西口より何もありませんでした。散策終了。私の散策は1、2分程で終わりました。

 

さて、特急かもめですが、主に大きく分けて2種類の車両が主に運用されています。

1つは787系です。

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長崎駅にて

元々は博多〜西鹿児島(今の鹿児島中央)を結ぶ特急つばめ用の車両ですが、九州新幹線の全線開業に伴い、在来線特急つばめは廃止され、かもめ等さまざまなJR九州の特急に使われています。

もう1つが885系、通称白いかもめです。こちらはカーブで車体を傾けることでカーブでもスピードを落とさず走れる、振り子式の車両です。(787系は振り子式ではありません)そして、885系1次車2次車のさらに細かく2つに分けることができます。何が違うのか?まずは写真をご覧下さい。

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885系1次車 長崎駅にて

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885系2次車 長崎駅にて

パッと目につく違いはライトの形状でしょうか。2次車の方が大きくなっています。また、よくよく見てみると1次車はかもめのマーク、2次車はソニックのマークがあるのがわかるでしょうか?(青帯の下、左とか、ワイパーの下にあるアラウンド・ザ・九州のつばめが回っているマークの下とか、鼻の部分、かもめマークは○に∨のようなマーク、ソニックマークは○にSのマーク)そう、元々1次車はかもめ用、2次車は主に博多〜大分を結ぶ、特急ソニック用として製造されました。今では共に窓の下の帯は青色ですが、元々1次車の帯は黄色でした。2000年に1次車、翌2001年に2次車がデビューしてからはそれぞれ1次車はかもめ、2次車はソニックとして主に活躍していましたが、当初より検査や予備編成の都合から1次車がソニックに、2次車がかもめに使われることも多く、今では1次車の帯も2次車と同じ青色に塗り替えられ、また、かつて1次車の側面にはかもめのロゴが、2次車の側面にはソニックのロゴがあったのですが、ともにアラウンド・ザ・九州のロゴ↓に変更されており、かもめ用、ソニック用の区别がなくなっています。とはいえ、先述の通り、先頭部のロゴは残ったままです。

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あとワイパーの本数も違うのがわかりますかね?1次車が3本、2次車が2本です。

このことを念頭にこの写真を見てください。↓

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こちらは先程載せた1次車の、反対の先頭車(6号車)の写真です。同じ1次車なのに、ワイパーの本数は2本となっています。一番左、ワイパーをつける根本はありますが、ワイパー本体はありません。なぜこんなことになっているのでしょうか?

青帯の右側に「SM3」と書いてある通り、こちらはSM3編成という編成です。だからなんやねんと言いますと、2003年7月、長崎発博多行のかもめが長崎本線肥前長田〜小江間で線路上の岩塊に衝突して脱線転覆する事故がありました。この事故に遭ったのがこのSM3編成というわけです。この事故で博多側3両(4、5、6号車)は事故廃車となり、新たに製造されましたが、このときワイパーの本数が2次車と同じ2本に変更されたというわけです。他にも色々細かな違いがあるのですが、この辺にしておきます。

 

なんとなくお気付きかもしれませんが、私は885系、特に2次車が大好きです。(1次車はそれほど)あの丸っこいフォルムと大きくて少し丸っこいライト。それがかわいくてかわいくて仕方ありません。最初に「かもめに乗りたい!」という欲望が湧いたと書きましたが、より正確には885系2次車に乗りたい!」でした。ですが、1次車が7編成あるのに対し、2次車は4編成と1次車のおよそ半分しかないため、2次車がくるかどうかは私の運次第です。(事前にわかるんですかね?どなたかご存知ありませんか?)

 

885系の話に脱線し、最後は文字通り、脱線の話に脱線してしまいましたが、私は何をしていたかというと新鳥栖でかもめを待っているところでした。11:20発のかもめ17号に乗る予定でしたが、電光掲示板を見てみると私の乗換案内では出てこなかった10:43発の臨時かもめ91号があることがわかりました。すぐに運用を調べます。JTB時刻表JR九州のホームページで885系787系かはわかるんですね。885系の1次車か2次車かはわかりませんが。しかし、臨時列車のためか他のサイトも当たってみましたがわかりませんでした。

わからないので885系2次車が来てもいいように一応ホームに向かいましたが、来たのは1次車でした。よってかもめ91号は飛ばして、予定通りかもめ17号に乗ることにします。

 

JR九州のホームページによりかもめ17号は885系だということはわかっていたので。期待を胸に待ちます。遠くからだんだんと近づいてくる白いかもめ。お前は1次車なのか?2次車なのか?果たして結果は、

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1次車でした。(ᗒᗩᗕ)残念、、、

まあ、ヘッドライトの光り方からして割と遠くからでも1次車だとすぐわかったんですけどね。一応近づくまで希望は持っていました。

これに乗り込むか、次の1時間後のかもめ(下手したらもっと後のかもめ、かもめは大体1時間に1本)を待つのか迷いますが、次のかもめも2次車かどうかわからないこと、長崎での観光時間が減ること、上の画像ではわかりにくいですが、来たのがSM3編成ということである意味2次車より珍しいことからこのかもめに乗り込むことにしました。内装はほとんど同じですし。(窓下のステンレス切り抜きロゴやヘッドレスト裏のロゴが1次車がKAMOME、2次車がSONICになってるくらいですかね?)2次車はまた別の機会に乗りに行きます。

私が乗り込んだのは6号車(最後尾)です。あわよくば、後面展望を楽しもうと思っていましたが、客室と運転室を隔てるガラスが白いガラスになっていて見れなかったので断念します。しかし、発車後後ろを振り返ってみると、なんということでしょう、先程まで白かったガラスが無色透明のガラスになっていて後ろの景色がよく見えるではありませんか!調べてみると液晶ガラスが使われており、普段は無色透明ですが、停車時非常ブレーキがかかっているときは白く曇るようです。万が一の事故の時、グロテスクな光景を見せないための工夫だそうです。

885系は登場時、普通車も含めて全席本革のシートが使われていましたが、匂いが苦手とか、滑って乗り心地がよくない、などの乗客の要望を汲み、一部車両でモケット張りに変更されています。私が乗った6号車もモケット張りでした。↓

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モケット張りのシート 席によって柄も異なる

さて、先述した通り885系振り子式車両です。振り子式車両はカーブでスピードを落とさず走れるというメリットもありますが、独特の揺れゆえ、人によってはかなり酔うようです。(酔う人が続出したそうな)それゆえか後の車両ではあまり振り子式が採用されず、代わりに空気ばね台車などが採用されています。かく言う私も以前振り子式特急オーシャンアロースーパーくろしお(ともに今はくろしおに統一)で酔ったことがありますが、この日かもめでは一切酔いませんでした。乗ったときはカーブでの傾きもスムーズすぎて振り子式ということを一瞬忘れていたほどでした。しかし、よく見るとしっかりカーブで傾いています。なぜ以前あんなに酔った振り子式で一切酔わなくなったのでしょうか?1つ思い当たることがありました。

それは私が乗り心地の悪い列車に乗り慣れていた、ということです。高校時代、通学にJR西日本快速、時には新快速を毎日のように使っていたのですが、まあこれが揺れる揺れる。(乗ったこと乗る方は分かると思います)しかも座れないのが当たり前でいつも立っていましたので、そんな私からすると振り子式車両の乗り心地の悪さは大したものではなかったのかもしれません。高校時代の経験がまさかこんな風に活きるとは思いませんでした。

さて、私が乗る885系1次車、かもめは"快適に"長崎本線を西に進み途中有明海の絶景を見ながら(列車が速くてカメラを構える時間がなかったため、あまりいい写真は撮れませんでした)新鳥栖から1時間半ほどで終点長崎に到着しました。

長崎駅にて」の写真のうち885系1次車は下車後撮ったもので、787系885系2次車は翌日撮ったものです。翌日2次車を見れたんですよね〜。2次車ファンですのでホント嬉しかったです。

 

と、まあ「さくら&かもめ乗車記」みたいなタイトルにしましたが、後半は私が885系について語っているだけの記事になってしまいました。できれば西九州新幹線開業前に885系2次車で長崎に向かいたいと思います。(長崎駅の感じと885系の感じがなんか合ってる気がして好きなんです)

かなり長くなりましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

※余談(という名のただの宣伝)

2022年5月に885系1次車がKATOより再生産されるそうです。こちらの製品では振り子機構が搭載されており、実車同様、カーブで車体を傾けて走行します。興味のある方は是非!てか、2次車も再生産してくれ!

2次車はこちら↓

中古でも安くて3万弱ですか、、、私885系2次車を3年ほど前に購入しましたが、そのときは新品で1万6〜7千円ほどでしたよ。鉄道模型に限った話ではないですが、発売から時間が経ち在庫が少なくなる、あるいはなくなると中古でもかなり値上がりします。ほしいと思ったら在庫が豊富にある内に購入したほうがいいかと思います。